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2011年10月25日火曜日

”形あるモノはいつかは毀れる”・白浜「円月島」・串本「橋杭岩」欠落する!

 台風12号により紀伊半島は局部的に山崩れや大洪水で、大きな災害が生じ、世界遺産に登録された熊野三山や熊野古道に一部災害を被ったが、これとは直接の関係はなさそうだが、観光名所である「白浜」と「串本」の観光のシンボルであり国の名勝・天然記念物に指定されている「円月島」と「橋杭岩」のいずれも一部崩落する事故があった。
”形あるものは、いつかは毀れる”の喩えどおり、天然記念物や有形文化財等は、この喩え通り地道で継続的な保存が望まれよう!

◍[白浜・円月島で3度目の崩落]

 白浜町の観光のシンボル「円月島」の東側で、岩肌の一部に新たに崩落したとみられる跡があることが、町観光課が確認して分かった。落ちた土砂は少なくとも数トンに上るとみており、同課では近く詳しく調査する予定。
 円月島は、堆積(たいせき)岩の一つ「れき岩」でできており、2005年9月に北側で、08年10月には南側でも規模の大きな崩落があった。同課は「大きな地震が起きたわけでもないのに相次ぐとは」と危機感を強めている。

円月島・崩落した部分

 崩落個所は、近くの県道から真正面に見えるアーチ部分の一部とアーチ部南側の根元付近とみられている。根元付近に生えていた樹木(高さ推定1・5メートル)が、根をむき出しにしてぶら下がった状態になっているのを近くの住民が、4月中旬に見つけた。
 観光課職員が5月27日に島に渡って確認したところ、干潮時にできるアーチ部真下の潮だまりが、崩落によるとみられる石や土砂で完全に埋まった状態になっていた。

 同課では昨年10月に南側の崩落を調査した際、この潮だまりの大きさも調べており、水深が2メートル弱、幅約2・5メートル、奥行き約3メートルあった。また、ぶら下がった状態になった樹木もなかったという。
 同課は「アーチ部の真下は何十年も前から深い潮だまりだった。埋まっている石などを調べてみないと断言できないが、付近が崩落し、その土砂で埋まったとしか考えられない」と話している。

 円月島は南方熊楠記念館のある番所山の南端から南に約100メートルの海上に浮かぶ無人島で、正式名称は「高島(たかしま)」。1974年に町文化財に指定されている。
 大きさは南北約115メートル、東西約20メートル、高さ約26メートル。中央に海食でできた縦約15メートル、横約12メートルの穴がある。風光明媚(めいび)な白浜を象徴する存在で、観光パンフレットでは必ず掲載され、いまも多くの人が島を背景に記念写真を撮っている。穴に沈む夕日の見物も観光資源となっている。

円月島
夕日が沈む円月島











 

 同課によると、「白浜町誌」に39年にアーチの部分に大きな亀裂が見つかったという記載があるが、その後、最近まで大規模な崩落の報告はなかった。しかし、2005年9月に北側の岩肌が幅8メートル、高さ9メートルにわたって崩落、08年10月には南側で幅5~9メートル、高さ13メートルにわたって崩れているのが確認され、島の保全が大きな課題となっている。

保全検討委を発足
 白浜町は2日、円月島保全検討委員会を発足させた。
 委員は和歌山大学システム工学部の江種伸之准教授と町文化財保護審議会委員、町内の地質業者、町幹部ら6人。
 町観光課では「島の変化を注視し、特にアーチ部分の保全では補強が可能かも含め、一歩踏み込んだ視点で協議していきたい」と話している。
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◍「串本・橋杭岩の一部が崩落」 住民が大きな音聞く
 
 橋杭岩(はしぐいいわ)は、和歌山県串本町にある奇岩群。大小約40の岩が南西一列におよそ850メートルもの長きにわたって連続してそそり立っている。
直線上に岩が立ち並ぶ姿が橋の杭のように見えることから橋杭岩と呼ばれている。また干潮時には岩の列中ほどに附属する弁天島まで歩いて渡ることができる。

 吉野熊野国立公園に属しており、国の名勝や国の天然記念物の指定も受け観光名所となっている。また橋杭岩を通して見る朝日はとても美しいと評判で日本の朝日百選の認定も受けている。この橋杭岩の一部が崩落していたことが分かった。
 国道42号側から3番目にある通称「黒岩」の上部が欠け、落下した。

 近くの住民が14日ごろに大きな音を聞いたといい、19日に地区から町教委に連絡があった。20日に県教委文化遺産課が崩落を確認した。同課によると崩落した原因は不明だが、橋杭岩には所々に亀裂があり、高波や強風などによって崩れることがあるという。

 大きな形状の変化はないが今後も崩落の危険があるため、観光客が近寄らないように町が表示板を設置した。

崩落した後
崩落する前


橋杭岩群

橋杭岩空中写真
【一部が崩落した橋杭岩。上部が欠けて下に落ちたとみられる(20日、和歌山県串本町くじの川で)】(紀伊民報AGARAより転載・2011年10月21日)

4 件のコメント:

  1. 地元の観光関係の方々にとっては、大事ですね。
    メルボルンのグレートオーシャンロードで、12人の使徒という奇岩群を見てきましたが、やはり侵食で崩壊して今は8個になっていたようでした。
    無理に補強せずに、早く見にこないとなくなっちゃうかもっていうPRの仕方もあるかもしれません。
    自然が相手ですからね。

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  2. megさん
    ごたぶんに洩れず観光地の白浜、那智勝浦がキャンセルの
    憂き目に遭っています。東北と同じです。
    それよりも世界遺産に登録の熊野三山、熊野古道が土砂崩
    れで熊野那智大社が社殿の半分以上土砂に埋まっています
    また那智の滝も姿が変わったそうです。
    そういうことで、文化庁の係員が現地検分しているそうで
    奈良県の十津川といい、わたしの家から100km位の
    処でこんな大災害が起こり、まさに驚きです。

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  3. それがしは個人的には、自然の造形はあるがままで宜しいのではないかと思うておりまする。
    朽ちて果てるもまた自然の営み、そもそも人の目からは朽ち果てたように見えても、自然としては望ましき形なのじゃと思いまする、人間如きが手を加えるはまさに大きなお世話ではござりますまいか?

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  4. モノノフどの
    貴殿のご意見に賛成で御座る。自然の姿は自然そのものの
    姿が本来であって人間の手を加えれば、まさに人工加工物
    となりまする。日本の庭園は自然にできるだけ近い設計に
    対し、西欧の庭園は左右対称のまさに人工加工物に」御座る
    この点正倉院に遺された文化財の修復とは自ずから異なり
    まする。

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